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レーダー探査事例 ‐首里城の正殿柱レーダー探査‐

首里城 レーダー探査

概要

 「首里城跡」は、2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産にも登録された貴重な文化財である。首里城跡内にある「正殿」は太平洋戦争により消失していたものを1992年に再建されたもので、構造・装飾・建築技術等の各方面から、忠実に再現されたものである。
 平成2008年現在、正殿は再建後16年を経過し、既に維持管理・補修・修復等も実施されているが、これら維持管理に関する検討課題のひとつとして、「正殿外壁部の柱根腐れ」が挙げられる。外壁部の柱は、漆により朱塗りされ、外観からその進行状況を視認することが出来ない。そこで、柱内部劣化(腐朽)の検知・判定へ向けて、今回、非破壊探査の一つである「電磁波レーダー探査」の有効性評価を目的として、ハンディタイプのレーダー探査機・バーンオゥルを使用した検証実験的な試行調査を実施した。

予備試験(電磁波透過試験)

 本調査に先立ち、正殿一階の建物内部の柱を用いて、電磁波透過試験をおこなった。正殿外壁部の柱は、直径約40cmの円柱である。本調査に使用する電磁波探査機「バーンオゥル」のコンクリート中における探査可能限界深度については、過去に実施した検証試験により50cm程度であることが確認されている。
 しかしながら、本業務における探査対象物は木質部材であり、樹種や内部の含水量などにより探査深度が変化するため、対象物に対して十分な電波の透過能力を持っているかどうか確認する必要がある。そこで、正殿一階の内部の柱(全周的に障害物の無い柱)を対象として、電磁波の透過(探査可能深度の確認)試験を実施した。


2-1) 試験の対象 正殿一階の建物内部の柱(図2-3.参照)
2-2) 試験の方法 柱の片側に探査機を走査させ、柱を挟んだ探査機の反対側にアルミホイルの擬似検体(反射体)を設置し、レーダー画像に擬似検体が検出されるか否かを確認。
展開画像とは、下図に示すように管渠を切り開き平面化して表示したものである。 下図では、管底が展開画像の上下に、管頂が中央に表されている。(任意の位置での展開が可能。)

木質レーダー探査

本試験(柱内部の腐朽診断)

本試験の測線設定
下図に示す、①鉛直方向(柱伸長方向)試験、②水平方向(柱円周方向)試験の2項目から構成され、それぞれ次頁のような測線と走査とした。

a) 鉛直方向(柱伸長方向)

柱の外壁側露出部において、礎石と接する柱下端から上方へ1.80mの場所を基点(探査開始点)とし、上から下へ探査機を移動させながら測定した。なお、礎石直上部0.15mの範囲は探査機の筐体サイズの関係により、データの取得が不能なことから、礎石上面+1.80mから+0.15mまでの1.65m間を探査対象区間とした。
また、図2-6.に示す様に、各柱について中央・右側・左側の3方向に測線を設定し、それぞれにレーダー探査を実施した。

レーダー探査木質走査伸長方向
b) 水平方向(柱円周方向)

柱の外壁側露出部において、礎石上面から+0.150m(下測線)、ならびに+1.50m(上測線)の2箇所を対象として測定した。概ね柱の露出部は半円形であり、半円周を測線として、西から東方向に探査機を移動させての計測とした。

レーダー探査木質走査円周方向